風の音

とある日の狼と兎

2010/09/05(初出) 2015/08/27(加筆修正) ≪臨時花嫁≫

****** ▼ 追記記事 ▼ ******

「うさぎ・・・」
お茶の時間、そう呟いた。
「えっ!?兎がいるんですか?」
どこ?どこ?と夕鈴は僕が見ていた外へ身を乗り出す。
そんな夕鈴を見てフッと口元が上がる。
「外にはいないよ」
「なんだ。残念・・・」
夕鈴が落胆して席へと戻る。
「あ、でも『欲しい』と思ってるんだよね」
自然と声が弾む。
「わー。その時は触らせてくださいね♪飼うんですよね」
夕鈴の顔がにこやかになる。
もふもふの白い兎とか触りたいなぁ・・・夕鈴はすっかり兎に気がいっている。
それを横目に見ながら、
「いや、食べようと思ってる」
お茶を一口含む。
ぶっと夕鈴がお茶を吹いた。
「げほっ。た・・・食べちゃうんですかっ!?」
側にあった布巾で机を拭きつつ夕鈴がじとっと僕を見る。
「お腹がすいてどうしようもなくて我慢できなくなったら、食べる」
「よかった」
と夕鈴が胸を撫で下ろす。
「どうしてよかったの?」
「だって、それなら陛下のお腹が満たされていれば兎はず~っと飼われて、食べられちゃうことがなくなります♪」
今度からお茶の時間にもっとお菓子を出しましょうか?と夕鈴はウキウキとしている。
兎が助かることが嬉しいらしい。
ちょっとムッとして椅子から立ち上がり、夕鈴の元へと行く。
夕鈴を立たせてぎゅっと抱きしめる。
「へ?陛下!?離してください~!!」
腕の中で暴れる兎をもう手放せなくなっている。
「私をからかうほど兎が食べたいんですね?」
夕鈴がぷくっと頬を膨らませて僕を見上げた。
何も言わずに夕鈴を見つめると両手でどんっと胸を押されて、夕鈴との間に少し空間ができた。
「こうなったら、陛下から兎を守ります!ぜったいに食べさせませんからね」
キッと夕鈴に睨まれる。

君がそれを言うのか・・・

「じゃあ、僕と夕鈴との勝負だね」
「はいっ!」
負けません!と夕鈴が握りこぶしを作っている。

少しずつ私のお腹は空いていってる
無理強いするのは簡単だけど・・・
いつまで我慢できるだろうか

「あ、陛下。いつ兎を飼うんですか?」
「もう飼ってる」
ニヤリと狼が兎を見た。
「え?」

そんなとある日の出来事。

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Re: タイトルなし

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嬉しいです。ありがとうございます!
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