風の音

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

出逢うということ

サトミ様へ

2015/09/24 ≪臨時花嫁≫

****** ▼ 追記記事 ▼ ******

最近、視線を感じる・・・。
特に害があるわけじゃないからいいけど、痛い・・・というか逃げ出したい。
「あの~・・・何か御用でしょうか?陛下」
視線を送ってくる正体は夕鈴の夫(仮)その人だ。
「ん?夕鈴は可愛いなぁ~と思って」
「んなっ///」
小犬陛下にそう言われて言葉に詰まる。
「からかわないでくださいっ!!」
真っ赤に染まった顔を見られないように陛下から顔を背ける。
この状況は王宮でも変わらない。
事あるごとに狼陛下は妃の元へと来ては甘い言葉を囁く。
この間もこんな事があった。
「何か欲しい物があるか?」
目の前に広げられた異国の品々に目を奪われる。

―――どれくらいの金額なんだろう?
―――あれは何に使うものなのかしら?

いろいろな事が頭を巡るけど、バイト妃が欲しいものなんて・・・ない。
「とても選べませんわ」
そうやんわり断って精一杯の笑顔を作る。

―――本物の妃に対してもこういう態度なのかしら?

ふと過るのは偽物故の“戯言”と分かっている。
「そうか・・・」
狼陛下は妃にとことん甘い。甘すぎる。
周りに“その事”を知らしめるための演技とはいえ顔が火照る。

*  *

「夕鈴の好きなものって何?」
夕鈴との後宮でのお茶の時間。
激務から解放され、可愛いお嫁さんと一緒にいられる時間。
「好きなもの・・・ですか・・・」
うーん、と夕鈴は腕組みをして考え始めた。
頭を少し傾けたので、長く綺麗な髪がさらりと揺れた。
「家事、掃除・・・仕事全般ですかね」
「えっ!?いや・・・そういう事じゃ・・・」
「?そういう事じゃないんですか?」
キョトンとする夕鈴に僕は苦笑いするしかなかった。
どうしても夕鈴の欲しい物が知りたかった。
誰かに命令して聞き出すこともできるけど、自分で聞き出したかった。

―――さて。どうしたら、彼女は欲しい物を教えてくれるだろうか。

*  *

―――何で急にこうなるの~??

夕鈴の頭は混乱していた。
狼陛下の甘々ぶりが増しているのだ。
事あるごとに夕鈴の耳元で甘い言葉を紡ぐ。
ある時は膝抱っこ、ある時は抱き上げて、ある時は壁際に追い込まれて、ある時は抱きしめられて。
そして必ず「何か欲しいものは?」と聞いてくる。
今日もまたやってきた。

―――もう耐えられない・・・

夕鈴は両耳に手を当ててへなへなと床に崩れ落ちた。
顔も耳もひょっとしたら体中真っ赤なのでは?という程熱い。
何だか目じりがじんわりしてきた。
「特にありません!!」
叫ぶことしかできなかった。
ふいにひょいっと抱えられた。
普段なら抵抗するけれど、今日はできなかった。
ゆっくりと長椅子に降ろされ、隣に陛下が座る。
「夕鈴、これ」
差し出されたのは小ぶりだけど品の良い髪飾り。
「陛下、これどうなさったんですか?」
「んー。夕鈴、今日誕生日でしょ?おめでとう」
「あ・・・」

―――忘れてた・・・

「ひょっとして最近ずっと私に欲しいものを聞いていたのって贈り物しようと思って、ってことですか?」
「うん・・・」
小犬陛下の回答にストンと何かが落ちた。
「・・・ありがとうございます」
ポロポロと涙が零れた。
「えっ!?何で泣くの!?」
嫌だった?夕鈴高いものは勿体ないって言うし、食べ物はなくなっちゃうから・・・
手をバタバタさせて小犬陛下が早口に言う。
ふるふると首を横に振った。
「ふふっ。嬉しくて。」



「陛下からもらえる物なら何でも嬉しいです」
頬を伝う涙を気にもせず、ふんわり笑う君が可愛くて。
僕の周りには君みたいな子いなかったから。
素直な君が紡いでくれる言葉は本物だと思うから。
そっと涙をぬぐって口付ける。
「!!?」
口をパクパクさせている君も可愛くて、苛めたくなる。
疼く心。
「私からもらえる物なら“何でも”嬉しいのだろう?」
あえて強調する。

―――君が言ったんだよ?

「そ・・・そういう意味じゃ、ない・・・んっ」
優しくゆっくり口付けて、君を解放する。

「生まれてきてくれて」

僕の元にきてくれて

「ありがとう」

腕の中の温もりを忘れないように抱きしめた。




* ≪リクエスト≫
 夕鈴の欲しい物をあの手この手を使って聞き出そうとする滅茶苦茶超甘々陛下の奮闘ぶり(幸せいっぱいな二人) というお話でした。

スポンサーサイト

*** COMMENT ***

コメントの投稿

管理人にだけ読んでもらう

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。