風の音

月光浴

2015/09/29  ≪臨時花嫁≫

****** ▼ 追記記事 ▼ ******

「今夜は特に月が綺麗ですね」
少し肌寒くなってきた夜に、夕鈴が用意してくれた温かいお茶と軽いお茶菓子をつまみながら、二人のんびり夜空を見上げていた。
「本当だね」
日中、仕事に忙殺されていたとは思えないほど、ゆったりとした時間が流れる。
「今夜は月が大きく明るく見える日らしいですよ」
そう言われてみるといつもより大きく真ん丸なお月様。
真っ黒な空に真っ白く光り輝いている。
「夕鈴みたいだね」
何もかも明るく照らす光。
暗闇にも負けない強い光。
「私がお月様みたいにまんまるく太っているという事ですか!?」
両頬に手を当ててがっくりしている夕鈴を見て、くすっと笑った。
「違う違う。どこまでも明るくて、綺麗だってこと」
夕鈴の顔がぽんっと赤くなった。
「な・・・なんですか、それは!!」


「・・・じゃあ、陛下は太陽ですね!」
夕鈴が両手をパンと合わせて、にっこり笑った。

―――うーん。僕が太陽?

「陛下がこの国を民を照らしてくださっているから、月は輝けるんですよ」
月は自ら輝かない。太陽の光をはね返して輝いている。
「星離宮でお土産にもらった本に書いてありました」
嬉しそうにそう言う夕鈴を優しく抱きしめる。
「へーか!?」
「少し寒くなってきたね」
じたばたと逃れようとする兎。
それをやんわりと逃がさない狼。
お互いの体温が伝わってきて、じんわり温かくなる。

―――僕は太陽なんかじゃない

『何にも要らない』
ずっと幼い頃からそう思ってきた。

―――夕鈴が僕の太陽かな・・・

冷え切った心をゆっくり溶かしてくれるのは君だけだ。

しんと静まり返った後宮で、寄り添う二人に優しく光が降り注ぐ。


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*** COMMENT ***

NO TITLE

二人のほんわりとしたゆったり時間っていいですよね。
優しい時間・・・・・。
陛下にとっての癒しは夕鈴であって・・・。
素敵な二人に酔いしれました。

優しいお話で素敵です。
有り難うございました~~
とっても癒されました。


Re: NO TITLE

瓔悠様へ

ゆったりのんびりとしたものを書きたかったので、
そう言っていただけると嬉しいです。

瓔悠さんを癒せたなら本望です!


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