風の音

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ひだまりの中で

星の涙様へ

2015/10/23 ≪臨時花嫁≫

****** ▼ 追記記事 ▼ ******

臨時花嫁を始めて少しした頃。
夕鈴はぽかぽか陽気に誘われて、後宮の庭を散策していた。
広い庭だが手入れが行き届いていて、色とりどりの花が後宮の庭を彩る。
下町では見たことのない花も咲いていて、近づいて花を観察したり、花の香りを楽しんだりしていた。
王宮は夢のまた夢の世界で、自分は知ることはないと思っていた。
ひょんなことから始まった『狼陛下の花嫁』生活は、冷や冷やしたりドキドキしたり心臓が忙しい。
でも、下町にいる時は知ることのなかった『狼陛下』の優しさに触れて、花嫁は少し気持ちが揺らいでいる。

あそこの四阿で休もう

近くに小川が流れている四阿の椅子に腰かける。
後宮の王様やお妃様の生活なんて考えた事もなかった夕鈴は、現実を目の当たりにして戸惑っていた。
知るはずのない『世界』がここにはある。
下町で感じる疲れとは明らかに違うそれに夕鈴は溜息をこぼした。

借金、どれくらいあるんだろう・・・

怖くて金額は聞けずにいた。
下町に思いを馳せながら、夕鈴はそっと目を閉じた。
さわさわと心地よい風が髪を揺らし頬を撫でる。
「しずか・・・」
下町のザワザワとした活気ある音は全く聞こえず、遠い所にいるんだと思わせる。
心地よさと疲れに身を任せていた夕鈴は、いつの間にかうたた寝をし始めた。

*  *

「夕鈴?」
侍女に聞いた場所へ来てみれば、そこには気持ちよさそうに寝ている夕鈴がいた。
うつらうつらと頭が動いている。
可愛いと思いながら、夕鈴の隣に腰かけた。
その時、こつんと夕鈴の頭が陛下の肩にぶつかった。
そっと夕鈴の方を見やれば、口元に笑みを浮かべて幸せそうに寝ている。
風に揺れて夕鈴が髪に挿している花の香りが鼻に届く。
それはほんのり甘く香る。
そっと夕鈴の髪に触れる。
サラサラとした艶のある髪は光で飴のように輝き、ほっぺたはお饅頭のようにふっくらとしていて、桜色の唇は砂糖菓子のようで・・・。
「美味しそう・・・」
風が本音を攫っていく。
「ゆーりん・・・起きないと食べちゃうよ?」
ほっぺをつんつんするも、夕鈴は少し身じろぎしただけで起きる気配はない。

『狼陛下』は演技だと思い込んでいる彼女にそんな事をしたら、それこそ逃げられてしまうか・・・

陛下は自嘲めいた笑みを浮かべる。
気候が良くなってきたとはいえ、このまま外で寝かせるわけにもいかず、陛下は夕鈴を優しく抱き上げた。
夕鈴を起こさないように部屋まで運び、寝台にそっと横たえると夕鈴が笑った。
「ふふっ・・・」

どんな夢を見ているのだろう・・・?

「君の夢の中に僕もいるといいな」
夕鈴の耳元で囁く。
夕鈴の温もりを手放したくなくて、ゆっくり夕鈴の横に寝転ぶ。
国政が安定するにはまだ時間が必要で、相変わらず多忙な日々を送っている。
そのため、夜遅くまで起きている陛下にとってこの時間、この体勢は気持ちいい。
夕鈴を優しく包み込むように抱きしめる。
「同じ夢を見させてね」
眠っている夕鈴に誘われるように、ゆっくりと目を閉じる。


“愛しい”という気持ちに気付くのはもう少し先の事。





* ≪リクエスト≫
 陛下と夕鈴二人でのお昼寝。
 夕鈴のうたた寝姿を見ていたらムラムラ・・・でなくて陛下もつられて夕鈴を包むように寝ちゃった というお話でした。

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