風の音

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光の架け橋

2015/12/03 ≪花嫁≫

****** ▼ 追記記事 ▼ ******

ここ数日、忙しさに拍車がかかっていた。
通常の政務に加え、次から次へと問題ごとが起きる。
重なる時は重なるもので、夕鈴にも会えなくなって、さらにやる気もなくなってくる。
「ゆーりんに会いたい・・・」「新婚なのに会えないなんて酷すぎる・・・」「もっと夕鈴といちゃいちゃしたい・・・」
ポツリポツリと呟いてみるものの、側近は
「お妃様も忙しいですので。そんな事よりシャキッと仕事してください」
とそっけなく返してくる。
まあ、こいつはいつもそうだが・・・。
たまには話に乗ってくれてもいいと思うぞ。
無駄なくテキパキと動く李順を見ながら、短い溜息をつき再び仕事に取り掛かる。
外は雨。
大粒の雨が容赦なく地面を叩きつけて、ザーという大きな音が響く。
そう、この雨が仕事を増やしている一因でもある。
ただ、雨が降らないのも困るので、これはこれで仕方ないかとも思う。
黙々と書簡に目を通してサラサラと筆を走らせ、印を押し・・・を繰り返していた。
「やっと終わった・・・」
バタリと机に突っ伏す。
すでに空は明るくなり始めていた。
もう限界・・・
そんな僕の気持ちを見透かしたように李順が「今日一日お休みを・・・」と言い出した。
こいつの気が変わらないうちにと、最後まで話を聞かずに机から立ち上がる。
急いで後宮へ向かった僕の後姿を、苦虫を噛み潰したような顔をして李順が見ていたなんて知る由もない。
疲れなんてどこかへ行ってしまったかのように足取りは軽く、“早く会いたい”ただその気持ちだけが先回りする。
後宮へ続く回廊の先、部屋の前に人影が見える。
見間違えるはずのない。
僕の、僕だけの・・・
「夕鈴!」
まさかこんなに朝早く起きていてくれるなんて・・・
嬉しさで夕鈴に駆け寄り、抱きしめようとした時、
「陛下、見てください!」
夕鈴が指差している空を見上げると、そこには・・・
「虹ですよ!しかも二重です。綺麗ですねっ」
雨が上がって空気が綺麗な早朝。
上下に架かる七色の虹。

ああ・・・やっぱり君は凄い・・・

忙しさのあまり雨が上がっていたことさえ気付かなかった。
まあ、忙しかった事もあるが、もともと自分は空を見上げる事があまりない。
自分が気付かない世界を教えてくれる君。
夕鈴を抱き上げてくるくると回る。
「きゃっ、何するんですか、陛下!」
振り落とされない様に僕にしがみついてくる。
回るのを止めて夕鈴の唇に口付ける。
「愛してる」
キラキラと汚れを知らない澄み切った瞳を見つめて囁くと、君の瞳が少し開かれて僕が映る。
「私も愛しています」
口元を手で隠してふんわり笑顔を綻ばせて言ってくれる。
頬が桜色に染まっているのは君だけだろうか。
雨に濡れた世界は光を反射してキラキラと輝く。




※ 国によっては虹は七色ではないらしいのですが、日本では七色という方が一般的だと思うので、そのように表現しました

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