風の音

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

捕獲 7

※ 『この世の春』 の あさ様よりいただきました!
  無断転載禁止です。

****** ▼ 追記記事 ▼ ******

【設定 本誌沿い】
《捕獲 7》

かさっ。
すぐそこに見える背をじっと見つめ、夕鈴はそうっと包みを置く。

「あれ?会っていかないの?」
「いいんです。今は大切な時ですから、あの子の集中を乱したくないんです。」
「…そっか。初めからそのつもりで…。」
「はい。浩大に渡してもらえば済む話だったんですけど、つい…ごめんなさい。」

ぺこり。
夕鈴は深々と頭を下げた。

「私がいなくてびっくりして追いかけてきてくれたんですよね?」
「…うん。」

申し訳なさげな夕鈴に、黎翔はため息をつくことしかできない。
そんな夫に何と言ってよいかわからず立ち尽くす夕鈴。

「せめて言伝とかあれば、僕も追いかけてきたりしなかったんだけど…。」
「っ?!」

ぎゅっ。
急に背後から抱きしめられた。

「さっき言ってたこと…『もし、そうなっても…』って。」
「あ…。」
「僕の愛し方が足りない?僕が君を手離すと本気で思ってる?どうすれば信じてもらえる?」
「違います、そうじゃないの!」

夕鈴は誤解を解こうと振り向こうとするが、黎翔の力は緩まず。
ますます強く抱きすくめられる。
さらり、と黒髪が耳朶に触れたかと思うと。

「――――逃げる気か?」
「あ、」

ぞくり。
腰から背へ。
未知の感覚が走り抜けた。

「に、逃げない…ちがう、の。」
「ほう。どう違う?」

かりっと耳を食まれて膝から力が抜ける。

「やっ、ここ、人が、」
「人目が気になるなら、静かな場所でじっくり話を聞くが?」

兎の弱いところを知り尽くした狼。
研ぎ澄まされた牙の切っ先が柔らかな毛皮を撫でていく。

「ひ、ぁ、」

かくんっ。
崩れ落ちた獲物を抱えて狼は。

「ゆっくりじっくり話し合おうね?」
「んあっ、耳…っ、きゃあっ!」

己の巣へと帰還する。

ねえ、夕鈴。
逃がしてあげられなくて、ごめん。
君を好きすぎて、ごめん。

「……。」

天を仰げば澄んだ蒼。
いつか命を終える日が来ても、ずっとずっと。

僕はこの手を、離さない。






・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

あさ様、ありがとうございました。
ひと足早いクリスマスプレゼントを頂いたかのようでした(* ´ ▽ ` *)
ちなみに私のリクエストは
『陛下が夕鈴を後ろから抱き締めて、何か言う』
という、ざっくり感。
こんな素敵なお話になるなんて・・・!
『この世の春』 では、
このような、たくさんの素敵なお話が読めますv

スポンサーサイト
«日記  | HOME |  捕獲 6»

*** COMMENT ***

コメントの投稿

管理人にだけ読んでもらう

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。