風の音

笑顔でいてくれると嬉しい

2016/03/09 ≪臨時花嫁≫
六のお題 【言い換えると】 4

お題配布元 → as far as I know 様

****** ▼ 追記記事 ▼ ******

“君が笑顔でいてくれると僕も嬉しい”


「ゆーうりん?」
そっぽを向いて頬を膨らませている可愛いお嫁さんに、最大限の優しい声を掛けるも、お嫁さんは一向にこちらを向いてはくれない。

さて、どうしたものか・・・

僕の『お嫁さん』とは名ばかりで、本当は『臨時花嫁』な彼女は、下町育ちの元気な女の子。
本来ならば出会うはずのない境遇の二人。
窓からの風が彼女の髪をさらっていく。
綺麗な髪が光に反射してキラキラと風になびくのを僕は見つめていた。


少し前に遡る。
部屋を覗くと、夕鈴が窓の外をじっと見つめていた。
その瞳に何が映っているのか知りたくて、そっと近づいた。
夕鈴の斜め後ろに立ち、少し屈んで目線を同じくする。
「何見てるの?」
「ひゃっ!?」
夕鈴が両手を胸に当てて、クルリと振り返った。
「へーか!驚かさ」
夕鈴は言葉を途中で切ったと同時に。

ぺちんっ

夕鈴の手が僕の唇を塞いだ。
「~~~っ///」
みるみる赤くなっていく夕鈴の顔。
「近いですっ!!」
確かに、僕は夕鈴と同じ景色が見たくて目線を同じ高さにしていた。
けど、そこまで嫌がらなくても・・・と少しショックを受ける。
そっと彼女の手首を持って、唇を解放する。
「口付けされると思った?」
ニッコリ笑顔で聞いてみれば、案の定
「お、思っていませんっ!!」
大きな声で否定された。
グサリと何かが心に刺さるが、無視する。
真っ赤な顔が意味することを知りたくて、目を細める。
「ふうん?」
再度、顔を近づけてみると、夕鈴の目線がスッと外れる。
それでも、じーっと見つめていると、居たたまれなくなったらしい夕鈴が行動に出た。
「私で遊ばないでください!」
と言うや否や、ドンッと突き飛ばされた。
で、今の状況に至る、と。


「夕鈴、ごめんね?」
もう一度、声を掛けるも夕鈴の頬は膨らんだまま。
「あまりにも君がじっと外を見つめてて、どこかに行ってしまいそうだったものだから」
ゆるゆると間合いをつめていく。
それに気付いた夕鈴は両手を前に突き出して、距離を保とうとするが譲る気はない。
「も、いいですっ///」
さらに近づいて言葉を続ける。
「愛しいお嫁さんが何を見ていたのか気にな」「もう、い・い・で・す!!お茶お入れしますっ」
頬をさらにぷっくりと膨らませた夕鈴は、スッと僕の脇から抜け出し、お茶の用意をし始めた。

夕鈴のほっぺた、落ちそう・・・

笑いを堪え切れず、クックッとお腹を抱えていたら、夕鈴がお茶を持って現れた。
「何で笑ってるんですか!」
「い・・・いや、ゆーりんのほっぺた、美味しそうだなって・・・」
「それ、食べ物じゃないです!お菓子もありますから」
コトンと卓にお菓子がのった皿が置かれる。
まだ笑っている僕に夕鈴は呆れたように
「そんなに笑わなくてもいいじゃないですか・・・」
と一言。
「こんな風に笑えるのは君の前だけだよ」
「・・・褒め言葉として受け取っておきます」
まだ少し膨れっ面の夕鈴に、本当のことなのにな、と思ったけれど口には出さなかった。
その後、笑顔で窓の外の景色の話をし出した彼女の顔を見ながら、いつまでもこんな日が続けばいいなと、ただ思った。


スポンサーサイト

*** COMMENT ***

かわいいお話ですね(o^^o)
臨時花嫁時代も初々しくて大好きです。
好きなのに好きって言えない、でもチラチラその想いが溢れちゃっててなんとも言えないかわいらしさがあるんですよねー。
お絵描きもあんなに頑張ってるのにお話も更新しててすごいなと思いました( ´ ▽ ` )ノ

まるねこ様

ありがとうございます~(*^^*)
そうなんですよね!
この何とも言えないもどかしさが臨時花嫁時代の美味しい所だと思っております。
お絵描き・・・少しストップしてSS書き書きしてました(´▽`;
まるねこ様の方が、お絵描きたくさんupされてて、すごいと思います~!
お絵描き時間がかかるので;

コメントの投稿

管理人にだけ読んでもらう