風の音

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巡る春

2016/03/15 ≪未来≫
※ このお話は未来のお話になりますので、ご注意ください。

****** ▼ 追記記事 ▼ ******


春になると思い出すのは、貴方の手を取ったあの日。

今でも鮮明に覚えている。


陛下の肩に、ことんと頭を預ける。
目の前にはたくさんの梅の木。
白色から紅色まで様々な色の花が咲き乱れ、すごく綺麗で見飽きることがない。
風に運ばれてほんのり花の匂いがする。
暖かな陽気に目を閉じると、ゆるゆると夢へと誘われる。
出逢うことのなかった二人が紡ぐ未来は、きっと希望に満ち溢れている。
そう思って、生きてきた。
幸せそうに笑う陛下につられて、自然と笑顔になる。
『幸せですか?』なんて聞かなくても答えはきっと・・・

ハッと目を開けて隣を見ると、陛下も寝ていた。
体にかかる温もりが夢から現へと意識を引き戻す。
「お疲れさまです」
そっと声を掛ける。
国は落ち着いたとはいえ、不穏分子はどこかしこにいて敵が少なくなることはあるけれど、いなくなることはなく、天災も度々起きるので、陛下の仕事が大変なのは同じ。
最近、少し根を詰めて仕事をしているようで、陛下の体調を心配していることをこの間、それとなく告げたが『大丈夫』の一言で片付けられてしまった。
どんなに忙しくても、「一緒に梅の花を見ようね」という約束を守ってくれる愛しい人。
これから先も、ずうっと大好きな人。
初めての恋は実らないとよく言うけれど、そんなことはなくて。
真っ直ぐな瞳に囚われた。
嫌なことも怖いこともあったけれど、その度に乗り越えてきた。
もし、“来世”なんていうのがあって、また巡り合えたなら今度は私から想いを伝えよう、と思うくらいの恋愛をした。
「陛下、そろそろ起きないと風邪を引いてしまいますよ」
まだ冷える夕時。
もぞもぞと身動きをして陛下が起きた。
「夕鈴」
優しく私を呼ぶ声は、どんなに時を刻んでも変わらない。
「もう少しだね・・・」
「・・・そうですね」
この景色も、もうすぐ見納め。
大変だったこともあったのに不思議なもので、思い出すのはどれも楽しかった日々。
「君とならどこでも楽しいだろうな」
「私も陛下と一緒ならどこでも」
優しく微笑む。
「そう言えば今度から陛下ではなくて、なんてお呼びしましょうか?貴方?黎翔様?」
「どちらも魅力的だけど、やっぱり名前の方がいいな」
「では、失礼して。黎翔様・・・」

私の人生は私のもので、自分で決めて歩いてきた。
だから、後悔などない。
これからも大好きな人と共に歩んでいけるなら、

やっぱり・・・

「私は、しあわせです」


また来年、こことは違う場所で、貴方と二人、春を迎えられるといい。

何があっても、心は春(ここ)に戻ってくる。


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