風の音

ココロ

2016/03/25 ≪花嫁≫

※ このお話は第80話(LaLa5月号)のネタバレSSになります。
  コミックス派の方はご注意ください!

****** ▼ 追記記事 ▼ ******

炎波国から外交使節団が派遣されてしばらく経つ。
その炎波国の第二王女 ―朱音姫― に挑発的に当たられるものの、『親善交流』を何とか成功させたい・・・!と私は思っていた。
そんな最中、朱音姫が命を狙われた。
陛下から「姫をよく知る人間による計画的な暗殺」という言葉が出てきた。
「使節団内に今回の件の内通者がいる可能性は高いでしょう。今、あちら側に返すのは少々危険かと、そのように本人にも伝えたところ、納得していたご様子でした」
李順さんのその言葉に心が痛む。

――― 一緒に来た自分の国の誰かに・・・狙われるだなんて・・・

ちら、と陛下を窺うと
「やはりどの国も面倒事は抱えているものだな」
どこか遠くを見る眼つきで、諦めにもにた表情。
私には分からないけれど、どの国の王族の人もやっぱり命を狙われるのだろう・・・。
陛下も昔、お兄さんに幾度となく命を狙われた事があると荷長官から聞いたことがある。
「――― 陛下、あの・・・お願い、が」

――― 遠くからやってきたお姫様。私にできることは何かしら?

「いくら夕鈴のお願いでもそれは出来ない!」
「でも!『大丈夫だから』って私、言ったんです」
「・・・夕鈴・・・」
「『弱ってる子イジメたりしない』って・・・」
「・・・」
「姫とは歳も近いですし、私はやっぱり仲良くなりたいんです」
姫が陛下のことが好きで私のことを邪険にしていたとしても。
王族のことはよく分からないけど・・・
「きっと、傷ついてます・・・」
裏切られることに『慣れ』なんてないはず。
誰だってきっとこの痛みを知っているはず。
「お願いします」
ポロポロと涙が溢れてきた。
「・・・困るなあ。そんなカオでお願いされちゃなあ・・・」
フウーと大きな息を吐いて、陛下が手で涙をそっと拭ってくれる。
「僕としては君が一番大事だ。少しでも不穏な動きがあれば・・・分かってるね?」
「はい!陛下、ありがとうございます」
ぱああっと表情が明るくなる。
「じゃあ、ん」
不意に陛下が屈んで、自分と同じ目線になる。
「?」
「お礼」
にっこり小犬が口元を指さす、その意味が分かって頬が染まる。
「えっ?ええっ!?///」
キョロキョロ周りを見渡すと、いつの間にか李順さんがいなくなっている。
じーっと待てをしている小犬・・・いや、狼がニヤリとした。
「~~っ///」
私がこの瞳に逆らえないことを知っていて、わざとこういう表情をする陛下はズルイ。
そっと唇を重ねた。
「コレは『お礼』じゃなくて『大好き』の口付けですからねっ!///」
真っ赤な顔を見られたくなくて、ぐるんと勢いよく後ろを向いて走り去る。
「・・・」
この時、陛下が『日に日に可愛くなっていくお嫁さんをやっぱり、他の人間には見せたくないな。さて、どうしたものか・・・』と思っていたことなど露知らず・・・。

――― 私は、この日、お姫様を拾ったのでした。


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