風の音

悲しみは癒してあげたい

2016/04/14 ≪臨時花嫁≫
六のお題 【言い換えると】 3

お題配布元 → as far as I know 様

****** ▼ 追記記事 ▼ ******

時折、陛下は悲しそうな表情をする。
それに気付くようになったのは、ごく最近。
お妃演技にも少し余裕ができて、陛下のことをよく観察するようになってからのこと。
陛下のことをもっと知りたくて近づこうとすると、距離を置かれる。
それがすごく、辛い。

生まれ育った環境が全く違うから、私じゃ駄目なのかしら・・・。

分かり合う事はできない。

それとも、臨時花嫁はただ狼陛下の隣でニコニコしているだけでいいから?

私はそれだけの存在になりたくない。
どうしたら、あんな表情しなくなるのかしら。


「陛下、これどうぞ」
お茶の時間に、久々に手作りしたお菓子を差し出す。
陛下の好きな『可愛くて甘いお菓子』
「美味しい!」
ぱあっと陛下の表情が明るくなる。
「お口に合ってよかったです」
自分が作った食べ物をこれほど喜んで食べてくれる人、家族以外にいなかった気がする。
少しくすぐったくて、でもすごく嬉しくて私も笑顔になる。
「夕鈴の作ってくれる物、いつも美味しいよ」
小犬の耳としっぽがパタパタ元気よく振られている・・・ように見える。

餌付けしている気分・・・になるのはなぜかしら。

「庶民の料理しか作れませんから、物珍しいのでは?」
恥ずかしくてそんなことを言ってしまう自分が歯がゆい。

素直に「嬉しいです」って言えばいいのに・・・。
『だからお前は可愛げねぇんだよ!』と、よく几鍔に言われていたことを思い出す。

「そんな事ないよ!だって、僕、お忍びで下町に行ってご飯食べるから、庶民料理も知ってるよ?」

・・・確かに。忘れてたわ。お忍び好きの王様だって事・・・

・・・たまには素直になってみようかな

小さく深呼吸をして、心の準備をする。
「美味しいって・・・食べてくださって、とても嬉しい、です・・・」
やっぱり照れくさくて、もごもごとしか言えなかった自分を恨めしく思う。
チラリと陛下を見ると、少し驚いた顔の後、笑顔になった。
「うん!美味しい」
また一つ、お菓子を手に取り嬉しそうにパクリと食べる陛下に、クスリと笑みが零れる。

こんな他愛のない時間が陛下を癒せているのなら・・・

自己満足だと分かっているけど、私がバイトでここにいる限り、毎日こういう時間を作りたいと思う。
それが、ココでの”私”という存在意義だと思おう。

貴方の笑顔が少しでも増えれば、嬉しい。



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*** COMMENT ***

とっても癒されるお話でした(o^^o)
夕鈴たまには素直に言葉に出していいですよね。かわいくてキュンキュンしちゃいました(#^.^#)

まるねこ様

まるねこさんを癒せてよかったです(*^▽^*)
どうしても意地張っちゃう夕鈴も可愛いのですが(笑)素直に言葉にしても可愛いだろうなぁと思って書きました。
きっと陛下も嬉しいはず・・・!

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