風の音

幸福の刻

2016/05/23 ≪花嫁≫
※ イラスト付きのSSです。
5/22が『ご夫婦の日』で5/23が『キスの日』ということで、
『ご夫婦の日』のイラストに『キスの日』のSSを描(書)きました。

****** ▼ 追記記事 ▼ ******

『ご夫婦の日』



ふと眠りから醒めた。
窓から差し込む光が眩しく目を細める。
外は明るいが、まだ起きるには少し早い時刻。
右腕にかかる重みに目をやると、愛しい人が眠っていた。

・・・あ、腕枕したまんまだった・・・

昨日の夜、腕枕をしようとしたら夕鈴に
「陛下にそんなこと、申し訳ないです!重いですし・・・」
と拒否された。
夫婦なのにどこかよそよそしいその態度に、少し傷つく。
でもどうしても腕枕をしたかったから、小犬で攻めた。
「だめ・・・?」
そう聞いたら、夕鈴はすぐに折れた。
結婚しても夕鈴は小犬に弱い。

夕鈴の両手は僕の左手を包むように置かれている。
眠っているその表情は綻んでいて、顔が熱くなる。
今まで何度も見たことのある寝顔なのに、今日は一段と幸せそうな夕鈴の寝顔。
ずっと見ていたくて、起こさないように体勢はそのままに、彼女の寝顔を見つめた。
右手にかかる夕鈴の髪をいじりながら、思いを巡らせる。

こんな風に自分と寝食共にする人がいることが、今でも夢のように感じる。
しかもその人は自分が愛しいと思った人で、相手も自分のことを好きでいてくれる。
こんな日が来るなんて、少し前の自分だったら想像もしていなかった。
氷が溶けるようにゆるゆると、心の奥底に沈んでいた感情が湧き上がる。

「ありがとう・・・夕鈴」
夕鈴の手の甲にそっと口を寄せる。
夕鈴はまだ気持ちよさそうに眠っていて起きる気配はない。
それをいい事に、おでこに頬に次々と口付けを落とす。
「んっ・・・」
ここまでくると、さすがに身じろぎして夕鈴がゆるゆると目を開けた。
「へーか?」
まだ眠いのだろう。
とろんとした目のまま問いかけられた。
「うん。おはよう、夕鈴」
ゆっくり夢ではないと確かめるように言葉を紡ぐ。
「あ!おはようございます」
覚醒した夕鈴の瞳に今日一番最初に映ったものが自分だということが嬉しくて、自然と笑みが零れた。
今度は唇に口付ける。
「っ!・・・・・・ぷはっ」
突然の口付けに息が止まったらしい。
フと自分の表情が緩むのが分かる。
「もう一回・・・」
そう囁いて口付ける。


そんな朝の出来事。

今日の仕事なんて忘れるくらいの甘いひととき。


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