風の音

すれ違う香り

2011/06/04(初出) 2016/06/01(大幅に加筆・修正) ≪臨時花嫁→花嫁≫
6月にある『プロポーズの日』に合わせて・・・

****** ▼ 追記記事 ▼ ******

「あれ?夕鈴何かつけてる?」
夕鈴がお茶の片付けにと横を通った際、ふと香った。
甘く 優しく どこか 懐かしい香り
「えっ!?へ・・・変な匂いですか!?」
眉毛を八の字にして、くんくんと自分の匂いをかぐ夕鈴の姿が微笑ましい。
「変じゃないよ。いい匂いだなと思って」
ふるふると首を横に振る。
「そ・・・そうですか」
少し顔を赤くして夕鈴はうつむいた。
「実はですね、紅珠にもらったんです」
“氾 紅珠”の名にピクッとするも、夕鈴はその事に気づかない。
夕鈴は嬉しそうに話を続ける。
「“お妃様に”と特別に調合してくれたんですよ♪」

そうだった・・・夕鈴は最初から氾紅珠を気に入っていた。
その紅珠に懐かれて彼女がちょくちょく遊びにくるのだから、尚更可愛く思っているに違いない。

ウキウキと夕鈴が紅珠とのやりとりを話しているのを見ながら軽くため息をつく。
勿論これにも夕鈴は気づかない。
「夕鈴、私にもその香りを分けてくれないか」
そう言って夕鈴を抱きすくめる。
夕鈴は予想通り腕の中で固まった。

さて、これで氾紅珠の話をこれ以上聞かなくてすむか

「陛下っ!放してくださいっ」
腕の中でじたばたしている夕鈴を名残惜しいが放す。
「~~~もうっ。からかわないでください」
真っ赤な顔をぷいっと横に向けられた。
その顔をもう少し眺めていたいのに、夕鈴はさっさとお茶の片付けに戻ってしまった。
結構本気なのに夕鈴には全く利かない。

そこが彼女の面白い所、なのかもしれない。

王宮内は常に気の置けない緊迫した空気が流れている。
その中に一本柔らかな香りの花があったなら・・・
しかもその花が他人に簡単には手折れない花であったなら

いつまでも

「側に置いておきたいな」
ポツリと呟いた言葉に夕鈴が振り向く。
「何か言いましたか?」
こんな時は彼女の勘は鋭く働く。
口元が緩むのを押さえて答える。
「いや、何も。」

今度、夕鈴に似合う香りを調合して贈り物としよう、と心に決めた。



時は流れ―――・・・
「あれ?夕鈴、その香りって・・・」
「えっ!?へ・・・変な匂いですか!?」
眉毛を八の字にして、くんくんと自分の匂いをかぐ夕鈴。
その姿が懐かしい気がして微笑む。

ずっと前、夕鈴が臨時花嫁だった時にあげた香りに似てる・・・

黙り込んだ僕に夕鈴が頬を赤らめる。
「えっとですね、ずっと前に陛下からいただいた香り、もうなくなっちゃたんですよね」
よく使っていたので・・・とさらに耳まで真っ赤になっていく。
「なかなか同じ香りが見つからなくて、似たようなものを探したんですけど・・・やっぱり陛下からいただいたものとはどこか違うんです・・・」
徐々に俯いて小さくなっていく声に、耳を凝らす。
「あの香り好きだったので」

僕に言えばすぐに用意させるのに・・・

夫婦になっても我儘を言わない夕鈴に苦笑する。
「今度また贈るね」
「いいんですかっ!?」
驚きと共に嬉しそうな表情のお嫁さんを前に、何としてでも贈ろうと決意する。
夕鈴を抱きよせて膝抱っこする。
「私があげた香りを纏っている君は、さぞ“私のもの”だと言わんばかりだろうな」
「っ!な・・・んで、狼っ!!?///」
目を白黒させている夕鈴の髪にそっと口付ける。
「夕鈴、愛してる。私と結婚してくれないか」
「ふあっ!?も・・・もう結婚してますが?」
突然の求婚に耳まで真っ赤になった夕鈴が上目遣いで僕を見る。
「毎年、求婚したら、いつも新婚でいられるだろう?」
「なっ・・・何言ってるんですかっ///」
「夕鈴は嫌なの?」
小犬のきょるんとした瞳で首を傾げて夕鈴を見ると、「ぐっ・・・!」と言って何かと葛藤しているようだ。
「嫌じゃないです・・・」
「夕鈴、愛してる。私と結婚してくれないか」
「・・・はい。陛下のお嫁さんにしてください」
ふわりとすごく嬉しそうに微笑んで、そっと触れる口付けをくれた夕鈴に、自分の顔が赤くなる。


お嫁さんがどんどん可愛くなっていくのって、どうしたらいいんだろう・・・


僕の悩みは尽きない。


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Re: NO TITLE

もも様

こんばんは(*´▽`*)
嬉しいお言葉ありがとうございますっ!
くだらないもの?・・・まさか!
ももさんのお話、素敵ですよv(萌)
私もまた遊びに行きますね~(^^ルンルン♪

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