風の音

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ともに・・・

2016/06/09(初出) 2016/06/10(再掲) ≪花嫁≫
6/10『時の記念日』に合わせて・・・
短いです。

****** ▼ 追記記事 ▼ ******

「夕鈴の作ってくれるご飯って優しい味がするね」
久々に作った手料理。
やっぱり質素で庶民的な味。

『それがいいんだよ』と、貴方はいつだか笑って言ってくれた。

「そうですか?」
「うん」
自分ではそう思ったことはないから不思議な感想だった。
嬉しそうに食べる陛下を見て、ふと思い出した懐かしい昔。

母が作ってくれる料理はどれも美味しくて、
食卓にそれらが並ぶだけで嬉しかったこと。
母が倒れて、一時父が料理をしてくれたけれど、
どれもどこか焦げていて苦い味がしたこと。
いつの間にか自分が台所に立ち料理するようになったこと。
母や近所の人に教えてもらって、少しずつ料理の幅を広げていったこと。
無理矢理やらされていると思ったことはないし、嫌だと思ったこともない。
私の当たり前にいつの間にか根付いていた。

ふふっと微笑む。
「きっとこれが、我が家の味です」
もうぼんやりとしか思い出せないけれど、断片的に思い出すのは家族で食卓を囲んで食べた母の味。
心の奥底に眠るその味を陛下が『美味しい』と言って食べてくれる。
それを見ると嬉しさが込み上げてくる。
「いつか子供が出来たら、この味を伝えたいですね」
「そうだね」
優しく微笑む陛下に、私の心はじんわり温かくなっていく。

時は止めることも巻き戻すこともできない。
でも、こうして流れていく一瞬に幸せを噛み締められたらいい。

私が居たいと思ったこの場所で。

「また作ったら食べてくださいね」

貴方が隣で笑ってくれる。


それが、しあわせ。



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