風の音

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返事が返ってくることの幸せ

2016/10/12 ≪恋人≫

お題サイト → Kiss To Cry 様

****** ▼ 追記記事 ▼ ******

「夕鈴」
「はい」
名前を呼べば返ってくることが嬉しくて、フッと笑う。
「何ですか?」
首を傾げて聞いてくる可愛い恋人。
「んー。名前を呼びたかっただけだよ」
そう言うと、ポンッと真っ赤になる。
「な・・・何ですか、それは!もうっ///」
机の上に散らばった書物を片付けている夕鈴を見ながら、少し前の事に思考が飛んだ。

夕鈴と別れた時のことを―――・・・

もう顔を見ることも、声を聞くことも、髪に触れることも出来ない。
『突き放してよかったんだ』と幾度も呟き、そう思おうとしていた自分。
自分の立場は望めば何でも手に入るのだろうけど、夕鈴にだけは自由に生きて欲しかった。
彼女の隣にいるべき人は、自分ではない。
自分ではいけないと。
きっとこれから先も、自分が幸せを望む人は夕鈴だけだろうと、色を失った世界でぼんやり思っていた。

「へーか?」
呼ばれてハッとする。
「体調がすぐれませんか?」
心配そうに顔を覗き見られる。
「あ、ごめん。少し考え事をしてた」
お茶を一口飲む。
心がほっとするのは、彼女が淹れてくれたお茶だからだろうか。
「今日はですね、妃の立ち居振る舞いを復習してまして・・・」
にこにこ今日の出来事を話してくれる、そんな夕鈴が微笑ましい。
きっと自分も今までにしたことのない笑顔で話を聞いているに違いない。

時折、この日々が夢なんじゃないかと思う時がある。
夕鈴が自分の隣で笑っている、そんな都合のいい夢。
でも、触れると温かくて、名前を呼ぶと返事が返ってくる。

ああ・・・現実なんだな

そう実感して、今までにないような感情が体中を駆け巡る。
きっとこれが“しあわせ”ということ。


「夕鈴」
「はい?」
「愛してる」
「ほわっ!?///」
耳まで真っ赤になった夕鈴が「あー」とか「うー」とか言っている。
そんな姿も可愛くて見つめていると、そろそろと僕を見上げて
「私も・・・あいしています」
もごもごとそう言ってくれた。
嬉しくて、そっと口付けをすると夕鈴が幸せそうに笑ってくれた。

ここが檻の中なんだと忘れるくらいの笑顔で。
この先、自分の隣でずっとその笑顔が見られるように

――― 守り抜く

そう強く、思った。


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