風の音

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きみと紡ぐ日々

2016/12/24 ≪花嫁≫
クリスマスSS(R様とのコラボ)

****** ▼ 追記記事 ▼ ******


夕刻、やっとできた仕事の合間に愛しい人の元へと向かう。
後宮のとある一室。
その窓から外を見ると、見慣れない大きな樹が見えた。

こんな樹、朝はなかったよね・・・

う~ん・・・と思いながら、夕鈴の居る部屋へと向かう。
「陛下、お疲れさまです」
そう言ってにっこりと微笑む夕鈴に、自身の仕事の苛立ちが静まるのが分かる。
二人でお茶を飲みながら「さっきこういうことがあって・・・」「今日はこんなことが・・・」と話をする。
この時間がとても心地がよくて、いつも離れがたい。
「そういえば、さっき見慣れない樹が植えてあったけど、あれは何?」
自分が指示したのでなければ、夕鈴なのだろうと問う。
「あ!あれはですね、“くりすますつりー”です」
「くりすますつりー?」
「はい。なんでも異国には“くりすます”という行事があるんだそうです。あの樹にいろいろな飾りを吊るすそうですよ」
少し作ってみました、と夕鈴が棚の中から箱を取り出す。
その箱の中には布で作った球体や鈴の形をしたものが入っていた。
どれも樹に吊るせるように紐が輪になって付いている。
「赤い球体は林檎を模していて、永遠の命という意味があってですね・・・」と話している夕鈴を見つめながら、昔読んだ文献にそういう行事があったなぁ・・・とぼんやり思う。
あまりにも楽しそうな夕鈴につられて笑顔になる。
「出来上がりを楽しみにしてる」
「はいっ!」
予想以上の元気な返事がきて、思わず笑ってしまった。


“くりすます”当日。
寒さが一層身に染みる。
後宮へ帰ってきて夕鈴を抱きしめる。
そうすると体の緊張が解けて、ゆったりと息ができるようになった気がする。
それだけ自分は夕鈴に癒されているんだと気付かされる。
「陛下、一緒に飾りつけしましょう」
たくさん作ったんですよ!と誇らしげに言う夕鈴が可愛くて、さらにぎゅうっと抱きしめた。


「夕鈴ってこういう行事、好きだよね」
確か七夕の時も嬉しそうに笹に飾りを吊るしていた。
いろんな人に短冊を渡してもいたっけ・・・。
「べつに何もやらなくてもいい日ですけど・・・」
夕鈴は少し口を尖らせて、樹に飾りを吊るし始めた。
「夕鈴・・・?」
「私が、陛下と、やりたかったんです」
『が』と『と』を強く発音された。
「陛下と飾りつけをしたら楽しいだろうなって、そう思って」
とびきりの笑顔で僕の方を向く。

ああ・・・

自分は知識としてこの行事を知っているけれど、実際にやってみようとは思ったことがない。
こうして実際に行動に移してみることのできる夕鈴はやっぱりすごい。

「これで、よし!あとは陛下がこの星を樹の一番上につけてください」
渡された星形の布を樹に吊るす。
部屋の明かりが外へ漏れて、樹がゆらゆらと影を作る。
「蝋燭も飾りたかったんですけど、危ないのでやめました。代わりに布で作った蝋燭を吊るしたんです。本当はもっと明るくて煌めく樹になると思うんですけど・・・」
そう夕鈴が少し申し訳なさそうに話す。
「十分綺麗だよ。これだけの量、作るの大変だったでしょ」
樹を見上げるとたくさんの飾りが吊るされて、最初見た樹と雰囲気がかなり違う。

忙しいお妃修業の合間に飾りを作っていた夕鈴を知っている。
夜更かしして作ってもいたようで、夜に会う時にはウトウトとしていることもあった。
何事にも一生懸命な奥さん。
時には一生懸命すぎて心配になる。
でも、彼女はやると言ったら最後までやるから、その気持ちに水を差さないように、そっと心配をして見守る。
いざという時は支えられるように・・・。
キラキラとした瞳で樹を見上げる夕鈴は、とても綺麗だ。


「ゆうりん」
優しく名前を呼ぶと振り返る君にそっと口付けを落とす。
顔を横に逸らした夕鈴が、俯く。
「不意打ちはずるい・・・です///」
外の寒さのせいか顔色が良くなかった夕鈴の頬が色をもつ。

ほっぺた真っ赤で可愛い・・・

「じゃあ、もう一度、口付けてもいい?」
「んなっ!///なんで今度は言うんですか!?」
夕鈴がぱっと顔を上げて、僕の方を見る。
「だって、不意打ちはずるいんでしょ?」
「うぐっ・・・」
夕鈴がジトッとこちらを睨んでくるが、可愛いだけだ。
「駄目?」
小犬の顔で上目遣いに夕鈴を見る。
夕鈴がこの顔に弱いのは重々承知している。
「ぐっ・・・駄目じゃないです・・・」
ぎゅうっと目を瞑って顔をあげる夕鈴に、先ほどよりも長い口付けをする。
細く柔らかい体を抱きしめると、お互いの体温で温かくなる。
「あ!陛下、寒いと思ったら雪が降ってきましたよ」
夕鈴を抱きしめたまま空を見上げると、小さな雪が落ちてきた。
本来なら雪は好きではないのだけれど、今はそんなに嫌じゃない。
夕鈴と一緒だと見ている景色が変わる。
それはとても不思議な体験で・・・。
「私の中心には君がいるんだと、こういう時、強く思うよ」
抱きしめる腕に少し力を入れると、夕鈴もぴったりとくっついてくれる。
僕の服をぎゅっと握って応えてくれる仕草が愛おしい。
「ふふっ。私の中心にだっていつも陛下がいますよ」
夕鈴を見るとにっこりと笑ってくれる。
見つめあった後、どちらからともなく唇を合わせる。
それと同時に、心が温かいもので満たされる。


暗闇から舞い降りてくる白い雪を、二人肩を寄せ合ってしばし見つめた。


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*** COMMENT ***

NO TITLE

ほわ~、何て素敵!
景色も、二人の心も、ホワイトクリスマスという言葉がぴったりな内容ですねえ(ウットリ)

原作設定で、こんなクリスマスネタが読めるなんて、と感激感嘆しております。
R様とのコラボ、ありがとうございました!


novello様

こういうネタは原作寄りで書くのが難しくて、コラボのお話を頂かなかったら書くことはなかったお話です。
少ししんみりと・・・でも、ほんわか幸せな雰囲気がでていると良いです(*^^*)
コメントありがとうございました。

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