風の音

君の大丈夫は信用しません。

2017/01/17 ≪花嫁≫

お題サイト → Kiss To Cry 様

****** ▼ 追記記事 ▼ ******

『大丈夫』
それは彼女がよくつかう言葉。
何事にも真っ直ぐな彼女らしい言葉だと思う。
でも・・・時にはそれが『大丈夫じゃない』事もある。


「夕鈴、僕に何か話す事ない?」
夕餉を終えて、夫婦二人だけの時間。
寝所へ行くにはまだ少し早い。
「・・・?特にありませんよ?」
思い当たる節がないのか夕鈴は首を傾げた。
「んー。本当に?」
再度確認するも
「ないですけど・・・?」
という答えが返ってきた。
本人が話したくないのか、本人に自覚がないのか、どちらにしろ陛下は話を切り上げた。


蘭瑶様とのお妃修業中、急に体がふわっとした。
「・・・お妃様?」
蘭瑶様に問いかけられてハッとする。
「どうかなさりました?」
「あ、いえ。大丈夫です」
咄嗟にそう答える。
蘭瑶様のお話が終わり挨拶をして席を立とうとした時に、眩暈がして夕鈴は倒れた。

疲れが溜まっていたようだ。
日中はもちろん、後宮に帰ってからも根をつめて勉強をしていた夕鈴。
気が付くと後宮の寝台の上に寝ていて、老師が心配そうな顔を覗かせていた。
「しばらくは安静にしとるんじゃぞ」
老師にそう言われて夕鈴はシュンとした。

今日の復習したい・・・もうすぐ読み終える書物もあったのに・・・

倒れても、夕鈴の頭の中は勉強のことでいっぱいだった。


少しすると陛下が部屋に入ってきた。
その焦ったような表情を見て、夕鈴は陛下に心配を掛けてしまったと申し訳なく思った。
「しばらく勉強は休み!」
陛下にしては強めの口調で言う。
「そんな!少しでも早くいろいろ吸収したいんです!」
そう言う夕鈴に陛下は軽くため息をつく。
「駄目。最近、勉強ばかりできちんと疲れもとれていないでしょ」
「私は大丈夫ですから」
「夕鈴が倒れたら元も子もないよ。今から君の『大丈夫』は信用しないことにする」
陛下が顔をフイッと逸らす。
なんで陛下が拗ねるの!?と夕鈴は焦る。
「!?本当に大丈夫なんですってば!」
陛下は夕鈴をじ~っと見る。
「とりあえず、お粥を作ってもらったからこれ食べて」
陛下が匙でお粥を掬いフーフーと冷まして夕鈴の口へと運ぶ。
それを見て夕鈴はギョッとする。
「大丈夫です、自分でできます!」
真っ赤になった夕鈴がそう言うが、陛下は聞く耳を持たない。
夫とはいえ王様にそんなことをやってもらうなんて!と夕鈴は慌てるが、陛下は微動だにしない。
ずいっとお粥の乗った匙を夕鈴の口元に差し出したまま。

夕鈴、覚悟を決めるのよ!私が食べ始めないと終わらないわ

そう思った夕鈴は真っ赤な顔のまま、口をおずおずと開けてそれを食べた。

恥ずかしすぎるっ!!///

もぐもぐと一生懸命咀嚼するが、陛下にじいっと見られているせいか、なかなか喉を通っていかない。
そんな夕鈴の様子を見ながら陛下が話し始める。
「『頑張るな』とは言っていない。前にも言ったように私の立場は君に強いるものが多すぎる。だからこそ頑張りすぎないでほしい」
大粒の涙が1つポトリと落ちた。
「ゆーりん!?お・・・怒ったわけじゃないよ?」
不意に狼が出てしまい、夕鈴を怖がらせてしまったかと陛下は慌てる。
「ちがっ・・・違うんです」
夕鈴は頭を横に振る。
堰を切ったように流れる涙を拭いながら言葉を紡ぐ。
「陛下の言葉で心がフッと軽くなったんです。自分が知らない間に自分を追いこんでいたのかも・・・と思って・・・」
うんうんと頷きながら優しく頭を撫でてくれる陛下。
「でも・・・陛下もお仕事頑張っているのに、私だけ甘えるのも・・・とか」
「う~ん。僕は適度に休憩してるよ」
根をつめすぎても頭が回らなくなるからね、と優しい口調で言う。
本当は休憩という名のさぼりも含まれているのだが、そこは伏せておく。
現に今も『夕鈴最優先』で動いていて、仕事を放ってきていた。
「夕鈴はもっと僕に頼ってくれていいんだよ。というか、僕は夕鈴に頼られたいな」
少し切なそうに笑う陛下に夕鈴の心臓がキュウっと締め付けられる。
「えっと・・・じゃあ、頑張って頼ります!」
「・・・頑張らないといけないんだね・・・」
複雑そうな陛下の顔に夕鈴が「しまった!」という顔をした。
それを見た陛下がフッと笑った。


本当に『大丈夫』な時もある。

『大丈夫』って思っていないと立っていられない時もある。

でも

きっと

そんな時も

二人でいれば『大丈夫』

支え合って乗り越えていく。


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*** COMMENT ***

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もも様

私、読んでるはずなんです・・・すみません・・・(-_-;)
あ、でもまた読みに行きました♪素敵でしたv
時間がある時にももさんのお話読み返して、萌え補給したいです・・・( *´艸`)
ももさんとは萌え萌えポイントが一緒なんだと思います!(←勝手な思い込み)
直接お話するか文通するかしたいくらいです←メールでもいいのでは?(笑)
「大丈夫」その言葉で自分を奮い立たせている感じがしますよね。
こちらこそ、いつも素敵なコメントありがとうございます(*´▽`*)

すっかり読みに来るのが遅れました。
こういう、何気ない日常のやりとり、ほっこりします(#^.^#)
夕鈴て、甘えるのも慣れてないし、頑張ろうと思わなくても自然と頑張っちゃう子だからきっとこんなことあるでしょうね。
そして陛下はやきもき…うん。
ご夫婦の姿が目に浮かぶようです。やっぱりかざねさんのお話はほっこりして温かくなります♪
今日も寒いけど、心が温まりました(*^▽^*)

まるねこ様

いつでも!お好きな時に。
“読んでくださる”ということが、とても嬉しいです(*´ω`*)
夕鈴は陛下のことを知れば知るほどその差を思い知らされて、
知らぬ間に自分を追いこんでいそうだなぁと。
でも、陛下はそんな夕鈴をちゃんと見ていて・・・。
陛下は基本的に夕鈴に甘くて優しいというのが我が家の定番(*^^*)
まるねこさんのコメントで私もぽかぽか温まりました。
まだまだ寒いですので、体調にお気を付けて!

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