風の音

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これで何度目の、

2017/07/15 ≪花嫁≫

お題サイト → Kiss To Cry 様

****** ▼ 追記記事 ▼ ******

桜の季節が来た。
そよぐ風に桜の花がまるで楽しくおしゃべりしているように揺れる。
その様を夕鈴は一人見つめていた。
後宮へ戻ってきて、一つ季節が巡った。
“本物の夫婦”になって時間が経ったというのに、未だ陛下の言動にはドキドキさせられる。

私も大概よね・・・

桜越しに見る空は薄い青色。
うっすらと月が見える。


「今日は外でお茶にしましょう」
後宮の庭にある四阿に茶器と茶菓子を用意してもらっていた。
どちらからともなく手を繋いで、歩く。
「ここの花が咲きましたね」とか「木に鳥がいるね」とかおしゃべりをしながら歩いていく。
陛下が優しく私を見つめる。

大好きな表情のひとつ。

いろんな陛下の表情を知る度に、私は恋に恋を重ねる。
恋心は積み重なっていく一方で、心の置き場に困る。
いつか私の心から溢れ出てしまいそうで、何だか怖い。

そうなったら、私はどうなってしまうのだろう・・・。

私が毎日陛下に恋をしているそのほんの少しでも陛下にも私のことを想ってもらえると嬉しい。
チラリと隣にいる陛下の顔を覗き見ると、フッと笑顔を向けられた。
いつからか気付いた。
私にしか見せないその表情。
何度も見たことがあるのに、私の胸はドキンッと一際大きく跳ねる。

「夕鈴、愛してる」

私の気持ちを知ってか知らずか、耳元で優しくそんなことを言う。
もう何度目かの愛の囁きだけれど、初めてそう言われた時と変わらず私は顔を赤らめる。
そして、言葉を紡ぐよりも前に心がいっぱいになる。
「わ・・・わたし、も・・・」
上手く言葉に出来ない私の頬に手を添えて、目元にそっと唇を寄せる陛下の行動に、『言わなくても分かってる』とそう言われているようで心が落ち着いていく。
じんわりと滲む世界が遮られ、ふわりと温かさが加わった。
陛下に抱きしめられていると気付いたのは、抱きしめられた少し後。
そっと陛下の背中に手を回すと、嬉しそうな声が降ってきて、ぎゅぅうっと大事そうに抱きしめられる。
恥ずかしくて顔を陛下の胸に埋める。

貴方に恋をするのはこれで何度目だろう。

愛情を行動で示してくれる貴方に、私はどれほど幸せを噛み締めたことだろう。
可愛く甘えられなかったり、素直になれなかったりする私だけれど、陛下は嫌になったりしないのだろうか・・・。
“だいすき”も“ありがとう”も・・・
そういう言葉だけじゃ私のこの気持ちを全て伝えきれない気がする。
でも、どうしたら伝えられるのか分からない。

だけど、私も貴方に少しでも応えたい。
陛下の服をぎゅっと掴んで、気付かれないように深呼吸をする。

「黎翔様、愛しています・・・」

結局口から出てくるのはありきたりな言葉。
それでも私にとっては精一杯の言葉だったのに
「私の顔を見て言ってくれ」
顎をくいっと上げられた。
見つめた先の陛下の顔は悪戯を湛えていて、私の鼓動は速くなる一方。
「あ・・・うぅ・・・///」
言葉に詰まる私に陛下が破顔した。

うわわっ。そんな顔は反則ですっ!///

余計に陛下の顔が見られなくなった。
ぎゅっと目を閉じたら、口付けされた。
「んっ・・・!」
少しして力の入らなくなった体がふわりと宙に浮く。
「さて、お茶にするんだったよね」
お姫様抱っこをされて後宮の庭を進んでいく。
咲き始めた色とりどりの花の甘い香りが鼻をくすぐる。
結局、陛下のペースになってしまって、ちょっと悔しい。
ぷくっと少し頬を膨らませた後、

えいっ!

勇気を出して陛下の首に抱きついた。
やっぱり嬉しそうに笑う陛下の声がした。
陛下の顔は見えないけれどおそらく、私の知っている表情をしているのだろう。
それを思って、私もくすっと笑った。


毎日楽しくて嬉しくて、時に少し苦しいほどに
私は何度でも貴方に恋をする。

でも、こんなに私の心を絡めて離さないのは、貴方が最初で最後。



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